補聴器をつけると耳が悪くなる?

「補聴器をつけることで、余計に耳が悪くなることってあるんですか?」


このご質問よくいただきますが、
安心してください!適切に調整された補聴器が原因で聴力が悪化することはありません。

それでも「補聴器をつけるようになってから、外した時の聞こえが悪くなった気がする」と仰る方もいらっしゃいます。補聴器を着ける前は聞こえにくい状態が日常だったので、その聞こえに慣れていました。補聴器をつけ、楽に聞こえることに慣れたため、外した時の聞こえにくさを顕著に感じ「補聴器をつけなくても、以前はもっと会話ができていた」と不安になるのだと思います。

メガネでも同じこと起きますよね?

こう聞くと「補聴器に頼らず、推測しながら限界まで我慢すればよいのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。
難聴を長年我慢しすぎると補聴器を装用しても満足に効果が出せなくなる場合があります。
なぜかというと、人体の使わない機能は衰える傾向があるからです。入院などをして歩かないでいると歩く力が衰えてしまうのと同じです。個人差はありますが耳も同じで、聞こえにくいままにしておくと言葉を聞きわける力が衰えてしまうことがあります。言葉を聞き分ける力が衰えると、補聴器を付けても「声は聞こえるけど、なにを言ってるか分からない」という状態になってしまいます。

また、補聴器は「つけたら聞こえて終わり!」というものではなく、聞こえなかった音を受け入れるリハビリが不可欠です。限界まで我慢してからリハビリを始めるのはとてもきついです。杖をついて歩ける状態から歩行のリハビリを始めるのと、寝たきりになってから始めるのとでは、どちらの難易度が高いか・・・わかりますよね。
補聴器をつける行為を難しいと感じる方も少なくありませんので、我慢をし過ぎず、手の動きが良いうちから補聴器をつけることもお勧めです。

話は戻りますが、補聴器をつけても耳が悪くならないのは「適切に調整された補聴器」であることが前提です。そのため、補聴器は必ずフィッティング(調整)が行える補聴器販売店で購入することがとても大切です。
適切に調整された補聴器を使用していても、加齢や耳垢詰まり、中耳炎などの疾患で聴力が低下することもあります。耳に違和感を感じたら早めに耳鼻科を受診しましょう。